佳奈多SS 『Happy Life』
- 2000 07/01 (Sat)
「あっ、かな…二木さん。」
廊下で彼と会った。
「こんにちは。」
私はなるべく、他人に悟られないように、素っ気なく返事をする。
そして
「…また、後でね。」
彼の耳元で小さく呟く。
そう、私達は恋人同士なのだ。
彼と付き合い始めて、かれこれ数ヶ月経つ。
だけど、学校内では、彼と話したりするのを控えている。
秘密の関係といったところだろうか。
二人の時間は夜の電話だけ。
それは、とても少ない時間だけど、私は幸せで一杯だった。
そして、今夜も彼と電話をしていた。
「あ、あのさ、明日休日だし二人でどこかに行かない?」
「え?」
彼の突然の誘いに私は意表をつかれた。
「だってさ、付き合って長いこと経つのにまだ二人で出かけたことなかったから…。その…駄目かな?」
「そんなことないわ!」
思わず大きな声を出してしまった。
それほど彼に誘ってもらったのが嬉しかった。
「ごめんなさい。急に大きな声をだして…。」
「別にいいよ。それじゃあ、どこに行こうか?行きたい所とかある?」
行きたい所…
色々な場所が頭の中を巡る。
そこで、クドリャフカの見ていた雑誌を思い出した。
「…遊園地に行ってみたいわ」
デートの定番といったら遊園地だと書いてあった。
「わかった。場所は○○遊園地にしようか。」
「ええ。」
「じゃあ、校門の前に7時集合でいいかな?」
「問題ないわ。」
「わかった。じゃあ準備もあるだろうし今日はこれくらいで。」
「そうね。おやすみなさい、理樹。」
「おやすみ、佳奈多。」
その日の夜は、まるで遠足の前夜のようにわくわくしてあまり眠れなかった。
目が覚めた。
時計は5時30分を指している。
7時に待ち合わせだというのに、こんなにも早く起きるとは。
とりあえず、洗面所へ向かった。
そして、鏡を見て初めて自分が笑顔だということに気づいた。
―彼との初めてのデート―
その言葉は、私を甘美な気持ちにしてくれる。
今日は特別な日になることだろう。
身支度を終え、クドリャフカが起きないように部屋を出た。
まだ、6時30分過ぎくらいだ。
(何もここまで早く来ることはなかったわね…)
すると、校門の前に人影が見えた。
そこには、あくびを手で隠している彼がいた。
「おはよう理樹、えらく早いわね」
私も人のことをいえないわねと思いながら声をかける。
「あ、おはよう佳奈多さん。なんだか早く起きちゃって。」
「あら、奇遇ね。私もよ。」
お互い自然と笑みがこぼれる。
「その…私服可愛いね。」
私は顔から火が出そうになったけど、悟られないように平然を装った。
なんでそんなことを真正面から言えるのかしら?
「あら、ありがとう。あなたも素敵よ?」
けど、彼に褒められたことは素直に嬉しかった。
「ありがとう。じゃあ、少し早いけど行こうか?」
「そうね。」
電車に揺られること1時間くらい。
駅から数分歩いたところにその遊園地はある。
「着いたね〜。やっぱり結構人居るね。」
「人気のある場所だし、休日だから尚更ね。」
遊園地は人で一杯だった。
親子や、遠足で来たのだろうと思われる小学生達、それにカップルも少なくはない。
カップル…
(なんだか変に緊張してきちゃったわ…)
「ここの遊園地の中には、水族館もあるらしいから、先にそこに行こうか?」
「そ、そうね。そうしましょう。」
「じゃあ、はい。」
彼はそう言って、手を差し出す。
私は理解するのに少し時間がかかった。
「え、えーっと…」
「手つなごうか?」
笑顔で言われた。
そうね、カップルと言えば手をつなぐのが常識ね、そうよね。と心の中でつぶやく。
(やっぱり、大胆…)
(それとも、私が初心なだけなのかしら?)
私も黙って手を差し出す。
「よし、じゃあ行こう。」
彼の温もりが手を伝わって感じる。
(あまり大きくない手だけど、やっぱり男の人の手なんだな…)
しばらく胸がドキドキしていたけど、今はだいぶ落ち着いた。
「わぁー、綺麗だね。」
巨大な水槽の中で泳いでいる魚達を見て、彼は言った。
「本当ね。」
私もそう思う。
なのに…どうしてなのかしら。
彼とのデートは楽しいというのに、いつものように言葉がでない。
(やっぱり、緊張しているのかしら…)
意外と大きな水族館で、全部見終わるのに1時間くらいかかった。
「ふぅ…結構歩いたね。少し休憩しようか。」
私達は水族館をでて、近くの休憩所の椅子に座る。
「何か飲む?買ってくるよ。」
「それじゃあ、レモンティーをお願いするわ。」
「分かった。少し待ってて。」
そういって、彼は走り出した。
「ふぅ…」
緊張に解かれて、おもわずため息がでてしまった。
「やっぱり、私無愛想なのかしら…」
今まで、たいしたことは話していない。
昔の自分はどうだっただろう?
理樹と会うまでの自分は、今よりも無愛想だった。
笑うことも今より断然に少なかった。
論外ね。
それに比べたら今はだいぶましになったとは思うけど、それでもまだ…
葉留佳のように明るくなりたい等と思ったことも何度かある。
こんなんじゃ、いつか彼に愛想をつかされてしまうかもしれない。
―それだけは嫌だ―
それを逃れる術はとても簡単。
私が明るくなればいい。
よし、もっと明るく振舞うようにしよう。
ぺた。
「ひゃぁあ!」
頬につめたい何かが触れた。
「ふふ…吃驚した?レモンティー買ってきたよ。」
彼がにこやかに缶を手渡す。
「あ、ありがとう。」
私の顔を訝しげに見てから彼は言った。
「どうかしたの?なんだか思いつめた顔をしてたよ?」
「そ、そんなことないわ、本当よ。」
慌てて誤魔化す。
「それならいいんだけど…」
なんとか誤魔化せたようだ。
缶を開けてジュースを飲む。
(そうだ、私から積極的に話しかけなくちゃ。)
「あなたの最近の趣味はなに?」
まるでお見合いのようだ。
もっとましな質問はなかったのかと自分を責める。
「趣味って訳じゃあないけど、佳奈多さんとの夜の電話は好きだよ。」
「なっ…。」
思わず顔を赤らめてしまう。
この返答は予想外だ。
「も、もう…理樹ったら…」
結局話題はこれで止まってしまう。
「そろそろ行こうか。」
「そうね。」
駄目だ…こんなんじゃいつもとなんにも変わりがない。
「ふぅ…」
また、ため息がでてしまった。
「駄目だよ、佳奈多さん。ため息をすると幸運が逃げちゃうよ。」
「そうよね。気をつけるわ。」
彼のその言葉が私の胸に深く突き刺さる。
幸運が逃げる…
―理樹と分かれる―
余計に落ち込んできてしまった。
「本当に大丈夫?やっぱり、元気がないよ。」
そんな私の表情を読み取ったのか、彼は言った。
「本当に大丈夫よ、初めてのデートですもの、元気がないわけないじゃない。」
と、今の自分にできる最高の笑顔を作った。
(逆に心配をかけるなんてバカみたい…)
「…じゃあ、行こうか。」
彼は私の手を引いて、歩きだした。
そのまま私達は色々な乗り物に乗った。
彼は終始笑顔を崩さなかった。
そんな彼の笑顔を見ていると落ち着く。
だけど、やっぱり私の心は晴れない。
そして、最後に観覧車に乗ることにした。
もう外はだいぶ暗くなってきていて、遊園地のイルミネーションが綺麗に光り輝きだす。
観覧車から見る風景はとても綺麗だった。
観覧車内ではしばらく沈黙が続いた。
先に沈黙を破ったのは彼だった。
「佳奈多さん、何を悩んでいるの?」
「えっ…。
そんな…私なにも悩んでなんかないわよ。」
「嘘だよ。いつもと態度が違うし、表情が暗いよ?」
「そ、それは…」
彼に言うのが怖かった。
答えを聞ききたくなかった。
「お願いだから言ってくれないかな。僕、佳奈多さんのそんな表情見たくないんだ。」
それでも、彼は強く私に聞いてきた。
私は考えた末、言うことを決心した。
「あの…私無愛想じゃない。それで、いつかあなたに愛想つかされるんじゃないかと思って…」
すると、彼は驚いた。
「そんなことないよ。僕は今のままの佳奈多さんが好き。愛想なんかつかないよ!」
「え…本当に?こんな私でいいの?」
「もちろんだよ。僕はありのままの佳奈多が好きなんだ。」
と、肩を抱きながら優しく言う。
私はとても嬉しかった。
彼のその言葉にどんな魔力が秘められていたであろうか。
―そして、唇を静かに重ねる―
しばらくして、静かに唇を離し彼は言った。
「いつまでも一緒だよ。」
「そうね。」
私は彼の胸元に顔をうずめる。
閉園ギリギリに遊園地を出た。
一応、私達の関係は秘密ということなので、校門から少し離れたところで解散すること
にした。
「今日は楽しかったよ。また時間があったら二人でどこかに行こうね。」
「私もよ。そのときまで楽しみにしてるわ。」
「うん。じゃあね、佳奈多。」
「また明日、理樹」
やっぱり、今日は特別な日になった。
また、電話だけの会話になるけど大丈夫。
彼が私を好きと言ってくれたから…
〜Fin〜
続きは俺のこの作品についてのコメント
え〜
初めてのSSでしたww
キャラ崩壊が激しくてすみませんw
文才がなくてすみませんwww
なんだか、読み返してみると理樹がやけに男らしい気がするww
仕方ないね(兄貴的に
つたない文章でしたが、ここまで読んでくださいましてありがとうございます!
これからも載せていきますので、このブログともどもよろしくおねがいしますm(__)m
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- Genre:アニメ・コミック
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Comment
佳奈多可愛いよ佳奈多w
自分時雨さんと同じですがもしよければクドメインを長編で(ぉいw
すごく・・・すごいです・・
東方のが消えてしまったのは残念だけど、これはこれで楽しめそうだよねぇ〜。
一体どんな展開になるのか楽しみさw
余裕が出来たらクドメインとかのも書いてほしいな〜
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